痛みと感情(不安になるとお腹が痛くなる)

#鍼灸効果

緊張していたり、不安な気持ちを抱えている時に、お腹が痛くなったり、頭が痛くなったりといった経験をされたことはないでしょうか? 今回は痛みと感情についてのお話です。

Contents

お腹と脳の関係

何かにストレスを感じているとき、脳の中はこんな状態になっています。 ストレスがかかっている時の脳波は、低い振幅で速い波が起きています。興奮しやすく、刺激に敏感になっている状態です。

これに反応して腸の方でも、大腸運動が亢進します。痛みが出たり、便通異常が起きたりします。

これを脳腸相関といいます。脳と腸が機能的に関係しているのです。 過敏性腸症候群や、子どもの「お腹が痛い」という症状の裏にはこのようなことが起きています。

ストレスと脳との関係

さらに脳の奥の方にある扁桃体というアーモンドの形をした部分を見ていきましょう。

扁桃体は快・不快といった感情や、不安や緊張、恐怖反応などで働く神経細胞の集まりです。

強い不安や緊張が長く続くと、扁桃体が過剰に働いて、ストレスホルモンが分泌されます。 ずっと戦っている状態ですね。

この状態が長く続くと神経細胞が委縮して、他の脳神経細胞との情報伝達がうまくいかなくなり、うつ症状が出てきます。

また昔あった不快な出来事、衝撃を受けた出来事などを何度も何度も思い出して、ストレスフルになる状態も、この扁桃体が関わっています。何度も思い出すことにより、扁桃体は過剰に働き、さらにストレスホルモンが分泌されます。

それが交感神経を刺激し、痛みが起きやすい状態になっていきます。 痛み、ストレスが長期にわたると、扁桃体が長期の興奮状態となります。

こうなると血圧上昇、眠れないという状態へ移行します。 痛みや不眠で悩まされている方には、この状態がよく見られます。

不安や緊張は脳を興奮させる

不安や緊張が呼び水となって、痛みを大きくさせていることは往々に見られます。

鍼灸治療院には「痛みで夜も眠れない」といった状態になって初めて事の重大さに気づき、ご来院というケースは多いのです。

最初はただの肩こりで、時々頭痛が起きるくらいであまり気にしていない状態。鎮痛剤を使えば、痛みは治まるし、まあ問題ない。

そんな感じで暮らしていたのに、段々と痛みが大きくなり、鎮痛剤を使っても痛みが取れなくなってくる。さらに辛いことには、痛みで夜も眠れなくなってきます。

ここに至って初めて自身の身体の変調に気が付きます。「不安」でさらに緊張し、痛みが耐えがたくなり、ようやく鍼灸治療院にいらっしゃいます。

痛みに対する鍼灸施術

鍼灸の痛みに対するアプローチにはいくつかあります。

1.筋肉の緊張を緩和させ、血行改善を図り、虚血状態だった部分の血流を促進する

2.神経を直接狙い、血行改善を図り、虚血状態だった部分の血流を促進する(坐骨神経痛など)

3.お腹の痛みなどは自律神経のバランスを整えることで、血流改善を促す(冷えの緩和、または過剰に動きすぎているものを鎮静化させる作用)

4.扁桃体などが興奮している状態による痛みへは、鍼灸刺激によって、視床下部・下垂体へ作用し、オキシトシン(ハッピーホルモン)の分泌を促進し、扁桃体の興奮を鎮静化し、ストレスホルモンの抑制を図ります。

5.経絡バランスをみて、感情のバランスがとれるように調整していきます。

私が患者さまの身体を触りながら、「痛み」の状態を見つつ考えていることは、何に由来した痛みなのかということを常にみています。

複雑化した心の状態や、身体の状態も、ベースになっている原因というのは必ずあります。そういう内面に起きていることも、お互いに共有出来たら、「痛み」に対する不安も軽減していきます。

「分からない」が一番辛いですよね。

自身の心と身体を理解する、鍼灸がそんなきっかけになったら良いと思います。      

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